【読了】NかMか ハヤカワ文庫

 こちらはハヤカワ冒険スパイ小説1992年総合ランキング100位中72位。

 第二次世界大戦中の南イングランド(?アイルランドのこと?)における、冒険好き中年夫婦による対ドイツスパイ活動。

 はっきり言って(東西冷戦下の平和時の裏に潜む危険を描いた「消されかけた男」に比べると)かなりお気楽。日本の2時間サスペンステレビドラマのような、非常に緊張感の少ない雰囲気である。

金田一少年やコナンを読んでいるかのようだ。

冒険好きなためスパイ活動に参加する中年夫婦だなんて、どんなラノベなんだかと。

 ただそれもしょうがないのかもしれない。平和時に危険な仕事を行うのと、戦時中に危険な仕事を行うのとではギャップが違い過ぎる。

周りがすべて戦争に係わりがあって息子や娘も戦場に出陣しているような環境であれば、生活と危険とのギャップも少なく、対スパイ活動も冒険譚になってしまうのだろう。

 主人公達が諜報活動を行なう側ではなく、諜報部員をあぶり出す側だったのも、探偵物の雰囲気になってしまった原因だったのかもしれない。

 ただ逆にテーブルトーク初心者にはこちらのシナリオのほうが向いているのではないだろうか。幾つかプロの仕事を諜報される側から経験させ、その手口を見破る側として経験してもらえれば、諜報側に立った時にどうすすれば良いか自然に覚えてもらえそうな気がします。

ただしこの作品は女性の勘に頼るところが大きいため、シナリオ作りにはまったく役に立たないと思います(笑)