【読了】消されかけた男 新潮文庫

 冒頭から非常につまらない。イギリス情報部にて、グラマー・スクール(公立学校)出身ゆえにパブリック・スクール(イギリス私立学校の中でもトップ10%を構成する特権学校)出身でエリートコースの新しい同僚たちにも新しい上司たちにも疎まれ、煙たがられる主人公。それどころか東ドイツへの生贄に差し出される始末。美しい奥さんもありながら不倫もする。ほぼすべての登場人物が嘘つきで、良い人物は脇に寄せられ、衰弱していく。

何も楽しみを見い出せず、ガンガン読み飛ばす。1992年のハヤカワ文庫スパイ冒険小説総合ランキングで100位中8位を獲ったとはとうてい思えなかった。

が、最後の最後ですべてのどんでん返しが起こる。

いままでのつまらなさはこの為にわざわざあったのかと思うと、唸らされる。100位中8位だけのことはあると思えた。

ハゲタカがこの作品を参考にしたらしいという話も聞く。

個人的には全員を信用できない話は道中に喜びが無くて苦手だが、斜め読みでも最後まで読んで良かったと思う。

苦言を言えば、ある意味卓越した能力を持っていた主人公一人の話なので、チームシナリオ作りには向かないということか(笑)